
以上の問いにお答えします。
本記事の内容
1.効果的なレポートの書き方は準備から
2.レポートの例文(サブカルチャー・アニメの場合)
3.レポートの文章構成などのポイント解説
この記事の信頼性
執筆者は文系院生で、レポート・報告書の添削歴も豊富
学会誌や紀要、一般書に10本以上の論文・コラム等を寄稿
大学生で「大学のレポート課題の書き方がわからない」という悩みをもつ方は多いです。
具体的には、レポートの案がうかばない、タイトルや参考文献の出し方がわからない、引用の仕方がわからないなどですね。


-
大学生の勉強・単位の取り方に役立つ記事まとめ
続きを見る
効果的なレポートの書き方は準備から
レポートを書くために必要な準備は、以下の3ステップです。
- レポート課題のテーマを自分の興味関心にひきつける
- 興味関心から、使う本や論文(参考文献)の目途をつける
- 参考文献から、具体的にレポートの構成をしぼっていく
順番にみていきますね。
Step1 レポート課題のテーマを興味関心にひきつける
レポートの課題として設定されるテーマは、一般的にひろいです。
そのため、設定テーマからかけ離れない範囲で、少しでも自分が興味関心をもつ話(レポートの案)を探す必要があります。
理由は、モチベーション(書く気力)の維持と、レポートであつかう範囲をしぼって書きやすくするという2点ですね。
例えば「サブカルチャー概論」という講義があったとします。
そこで「講義でとりあげた現象から一つえらび、えらんだ現象に対する考察を加えよ」と課題が設定されたとします。
サブカルチャー概論だと、「メディアミックス」や「アニメツーリズム(聖地巡礼)」などの現象がでてきそうです。


Step2 使う本や論文(参考文献)の目途をつける
テーマをしぼったところで、次は使えそうな文献を探します。
レポートに使う参考文献が決まっていたら、2000~4000字程度の文章はサクサク書けます。
というのも、短い文章ほど、本や論文からの引用で「序論・本論・結論」という型が整うからです。
使う参考文献の目途は、以下の通りです。
- 権威文献:テーマ上、ふれておく必要がある文献 目安:1つ
- 自分用の文献:文章を書くうえで使い勝手のよい文献 目安:2~3つ
- 新聞記事:レポートの社会的背景をみせるのに有効(後述)


-
【文系向け】レポート用参考文献の探し方のコツ【検索サイト】
続きを見る
Step3 具体的なレポートの書き方(文章構成)を決める
参考文献=引用する文章が決まることで、議論の方向性もさだまりますし、タイトルもだいたい決まります。
あとは、具体的にどうレポートを書きすすめていくのかを決めましょう。
レポートの構成の例
大テーマ:「アニメツーリズム(聖地巡礼)」
小テーマ:「鬼滅の刃」の聖地を考える
参考文献:大テーマに関連して「観光学」から2冊、小テーマに関連して新聞から1記事
書き方:アニメ由来の聖地がどう創られていくのか、鬼滅の刃で聖地巡礼が行われている場所の具体例から考察する


レポートの書き方の例文(サブカルチャー系の場合)
以下、「アニメツーリズム(聖地巡礼)」と「鬼滅の刃の聖地」でテーマを設定した、レポートの書き方の例文です。
2000字ほどなので、準備さえすませておけば3時間で書けます。
「アニメの聖地はどう創られるのか―『鬼滅の刃』の聖地を事例に―」
はじめに
近年、アニメツーリズム(聖地巡礼)がブームである。聖地巡礼とは「アニメや漫画の作品の舞台となった土地や建物などを訪れる旅行」(内閣府 2017: 28)を指す。
本レポートでは、聖地巡礼の旅先となる「聖地」が、いかに創られるのかを考察する。考察によって、アニメファンの行動と聖地巡礼という社会現象とのつながりの一端を明らかにできる。考察にあたっては、アニメ『鬼滅の刃(※1)』の聖地として知られる、福岡県太宰府市「宝満宮竈門神社」を事例としてあつかう。
(※1) 『鬼滅の刃』の原作は、2016年から『週刊少年ジャンプ』で掲載されているマンガになる。ただ、2019年にアニメ化されており、本レポートではアニメとしてあつかっている。
1.アニメの聖地が創られるプロセス(先行研究)
まず、アニメの聖地はアニメファンが発見することで創られていく。そして、発見の原動力はファンがアニメにもつ愛着に求められる。
この論拠は、人々の旅行体験を論じたエリック・コーエンの議論に求められる。具体的にはコーエンが「宗教的であれ文化的であれ、人々の『精神的』な中心」(Cohen 1979=1998: 40)と述べる箇所である。精神的な中心とのかかわりで旅行体験が語られるという、このコーエンの言葉を借りれば、アニメファンの「精神的な中心」は、愛着をもつアニメというコンテンツになる。
そして、日本におけるアニメファンの「聖地巡礼という行為」は、岡本健の議論が参考になる。岡本によれば「旅行者が旅行目的地としての価値を能動的に見出し、それが情報発信によって広がっていくことによって旅行行動として定着したもの」(岡本 2012: 62)と定義している。
つまり、以上の研究にしたがえば、アニメへの愛着をもつファンが旅をして、アニメとのむすびつきを見出した旅先で聖地が創られる。以後、その聖地への巡礼が行われるというプロセスがあるわけだ。
2.アニメ『鬼滅の刃』の事例
以上のプロセスによって創られた、アニメ『鬼滅の刃』の聖地の一つに、福岡県太宰府市の「宝満宮竈門神社」があげられる。
宝満宮竈門神社は、大宰府政庁の鬼門除けであった由緒をもち、鬼滅の刃とのむすびつきがある。具体的には、鬼門除けの由緒は鬼を討つというアニメ内容に合致し、竈門の名称は鬼滅の刃の主人公、竈門炭治郎の名前につうじている点だ。
実際に、同神社と鬼滅の刃とのむすびつきを発見したのは旅行者のようである。それは、同神社の神職が「『コスプレをして神社で撮影をしていいか』という問い合わせのメールでファンが訪れていることに気がついた」(寿柳・宮野 2020.8.15)と語るとおりである。そして、鬼滅の刃の聖地として新聞社にもとりあげられるようになった。
3.考察
宝満宮竈門神社の事例から、聖地が創られるプロセスは二段階あると考えられる。「(1)聖地が創られる前提」と「(2)聖地への意味付与」である。先述した「アニメファンが、アニメとのむすびつきを見出した旅先」の観点から考察を加えていく。
「(1)聖地が創られる前提」という段階では、聖地の前提としてアニメとむすびつく何かがあることで、ファンが聖地として場を発見する。宝満宮竈門神社の場合だと、竈門という名称と、大宰府政庁の鬼門除けという由緒があったから、アニメファンが発見し、注目するきっかけとなった。
「(2)聖地への意味付与」という段階では、ファンが聖地の情報を共有する過程で、聖地といわれる理由が強まる。宝満宮竈門神社でいえば、ファンが神社の情報を共有していく過程で、「大宰府政庁の鬼門除け」の由緒が、鬼滅というテーマと関連づけられ、鬼を討つ、さらには邪気払いといった意味が付け加えられていった(※2)。
この二つの段階を経て、宝満宮竈門神社は鬼滅の刃の聖地となった。そして、アニメファンによる継続的な聖地巡礼が発生したわけである。
(※2) 例えば、宝満宮竈門神社に「コロナ滅」の絵馬がおさめられていることは、鬼滅のイメージから邪気払いという意味付与があることをしめしている(寿柳・宮野 2020.8.15)。
おわりに
以上、宝満宮竈門神社を事例に、アニメの聖地とよばれる場がいかに創られるのかを論じた。
まとめると、アニメの聖地には「(1)聖地が創られる前提」として、アニメとのむすびつく何かが必要であり、このむすびつきが発見されたあと、ファンによる情報共有の過程で「(2)聖地への意味付与」が行われ、聖地が創られる。そして、聖地巡礼という行動が発生することが明らかとなった。
最後に、アニメ終了後の聖地はどうなるのかという問いが課題として残る。鬼滅の刃は2020年12月4日に発売した最終巻をもって、物語の幕を閉じた。アニメが終わったあと、アニメをきっかけに聖地となった場は、どのように変化していくのだろうか。
参考文献・サイト
岡本健, 2012, 「旅行者主導型コンテンツツーリズムにおける観光資源マネジメント―らき☆すた聖地「鷲宮」とけいおん!聖地「豊郷」の比較から―」『日本情報経営学会誌』32(3), pp.59-71.
Cohen, Eric, 1979, “A Phenomenology of Tourist Experiences,” Sociology, 13: pp.179-201. (遠藤英樹訳, 1998, 「観光経験の現象学」『奈良県立商科大学「研究季報」』9(1), pp.39-58).
寿柳聡・宮野拓也, 2020.8.15 「鬼滅ファン、「竈門」神社に続々 「コロナ滅」の絵馬も」, 朝日新聞デジタル, (2020.12.14取得, https://www.asahi.com/articles/ASN8H4HBNN86TIPE00S.html?iref=pc_ss_date_article).
内閣府 知的財産戦略推進事務局, 2017, 「コンテンツを活用したインバウンド・アウトバウンドの促進」, 内閣府, (2020.12.14取得, https://www.cao.go.jp/cool_japan/local/seminar1/pdf/siryou1.pdf).

関連記事【翻訳書やpdfも】レポートの参考文献・引用の書き方【コピペ可】
関連記事【webサイト】レポートでの参考文献の書き方【アニメ・映画など】

-
論文・レポートの書き方本のおすすめ9冊【50%以上安く買う方法もあわせて解説!】
続きを見る
レポートの書き方 文章構成上のポイントを解説
以上にみた、レポート例文の文章構成上のポイントは次の通りです。
- パラグラフライティング
- PREP法で論じていく
- 3節立てにするとレポートを書きやすい
- 定型の文章を各節にはめ込む
順番にみていきますね。
ポイント1 パラグラフライティング
「パラグラフライティング」とは、「1文(段落)で1つの話題だけあつかい、その文章をつないで論理を展開する書き方」をいいます。
そして、パラグラフライティングの理想形は、各段落の最初の一文をつなげると、文章の要約が完成することです。
とはいえ、書きなれていないうちは「1つの段落にいくつもの話題をつめこまないようにしよう」という点に気をつければOKです。


ポイント2 PREP(プレップ)法で論じていく
PREP法とは「先に結論をしめして説明をはじめる」という、文書作成やプレゼンテーションに使われる方法論です。
PREP法の文章構成
- P 「Point(結論を先にだす)」
- R 「Reason(理由をいう)」
- E 「Example(具体例をしめす)」
- P 「Point(結論)」

ポイント3 三章構成だとレポートを書きやすい
レポートに限らず、文章は「三章構成」にするとまとまりがよく、書きやすくなります。
というのも、本論部分を3という数字で分割すると、多くも少なくもない文章量となり、文章構成も簡潔だからです。


ポイント4 定型の文章を各節にはめ込む
レポートは、定型文を決まった場所にはめ込めば成立します。
具体的には、以下のステップの通り。
step
1はじめに(序論)
- 考察する内容
- 考察する理由・論点
- 本論の流れ
文章量は10~20%


step
2本論
- 関連する先行研究
- 自分の考えの主張
- データ
文章量は60~80%

step
3おわりに(結論)
- 本論のまとめ(総括)
- 今後の課題
文章量は10~20%


まとめ:レポートは書き方さえおさえたら3時間で書ける
今回は、大学のレポートを書くときの準備と、レポートの例文(サブカルチャー系)、文章構成上のポイントをお話ししてきました。
記事内容をまとめると、
- 社会現象を参考文献と実例で説明できるように準備する
- 準備ができていれば、文系のレポートは1~2時間で書ける
- ポイントをおさえた書きやすい文章は、読み手にもやさしい
となります。
レポートの例文は、大学でも専門性の高くない授業を想定したものですが、準備や文章構成上のポイントは、どのレポートにも共通します。
なので、事前の準備と書き方のポイントをおさえて、レポートに割く手間をはぶきましょう。

-
論文・レポートの書き方本のおすすめ9冊【50%以上安く買う方法もあわせて解説!】
続きを見る

-
大学生の勉強・単位の取り方に役立つ記事まとめ
続きを見る